〇エゴマとは

 エゴマ(荏胡麻)は一年生のシソ科植物で、東アジアで食べ物として栽培されている植物です。エゴマはゴマの仲間とよく間違われますが、実はシソと学名が同じ(Perilla ペリラ)植物です。日本ではじゅうねん(東北)、えぐさ(長野)、あぶらえ(岐阜)などと呼ばれ、昔は全国に、今は高冷地を中心に作られている雑穀であり油脂性の植物です。食べ方がゴマとよく似ていますが、エゴマの成分・効能はゴマとは全く違います。なぜならエゴマにはアルファ・リノレン酸という健康によい油が60%以上も含まれていますが、ゴマにはそれがほとんどないからです。

〇アルファ・リノレン酸とは

アルファ・リノレン酸とは人間が生きていく上で欠かせない油(必須脂肪酸)であり、生活習慣病または成人病(ガン、動脈硬化、脳こそくなど)、視力障害、アレルギーなどの病気にも有効なことが最近明らかになってきた脂肪酸です。また、アルファ・リノレン酸は体脂肪としてたまりにくいのでダイエットにも効果があります。一日に取る油の量は50グラムが理想と言われていますが、その内5〜10グラムはアルファ・リノレン酸の油を取ることが健康のために望ましいのです。ところが、現在の日本人にはアルファ・リノレン酸が不足しています。この不足を補ってくれるのがエゴマなのです。

 

食用植物油の脂肪酸組成

植物油別

アルファリノレン酸

リノール酸

飽和脂肪酸

エゴマ油

60%

10%

30%

ごま油

1%

40%

59%

なたね油

10%

20%

70%

大豆油

8%

50%

42%

ベニバナ油

1%

70%

29%

オリーブ油

1%

10%

89%

〇エゴマの歴史

 エゴマの原産地はインド高地より中国雲南省の高地と推定され、ここから中国、韓国、日本に入ったといわれています。
 エゴマは1万年〜5500年前の縄文時代から日本人に作られ食べ伝えられてきました。5500年前の遺跡7カ所からエゴマが出土しています(福井県三方町の鳥浜遺跡、長野県諏訪市の荒神山遺跡など)。ですからエゴマは日本最古の油脂植物といえそうです。
 エゴマが油として使われるようになったのは平安時代初期(859-877年)で、山城国(京都)の大山崎神宮宮司がエゴマから油をしぼったことに始まると言われています。エゴマ油は食用の他、灯籠や提灯の燃料としてまた傘や雨合羽、さらに建築家具の塗装としても用いられていました。また戦国時代(1500-1568年)には美濃(岐阜)城主斎藤道三が若いころエゴマ油の行商人として財をなしたとつたえられています。鎌倉時代から徳川幕府中期までの800年間、日本はエゴマ油の全盛時代でした。しかし、江戸時代後期に、なたね油が広がると、エゴマを作る人が少なくなりました。また明治に入り、満州(中国東北地方)や朝鮮より、安いエゴマの輸入品に国内生産は激滅し、今は福島県、岩手県、岐阜県、宮城県などの一部に自家用伝統食として残るだけとなりました。

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