サミットによせて
平成16年12月21日
老人の笑い声と赤ん坊の泣き声のする村にしたい。誰もがここにいることに満ち足りた気持ちでいて健康で長生きできるように。会 員の中で唯一の20代であるわたしはそんな願いを抱きつつ衣川エゴマの会の中で日々活動しております。ただ今会員86名。そのほとんどが60代、70代で す。今は若い世代が少ないのですが、いずれこの輝くシルバーの智恵と力を伝えていきたいと思っております。そのためにも今回のサミットはよいきっかけとな ることと感じております。
「あんたは若いのになんでジュウネなんか作っているの」とよく人に聞かれます。そのことの答えは多くありますが、平静より常々 思っていること、私にエゴマを教えてくれた村上周平先生について少し触れたいと思います。
今、子どもの数は急激に減少し、学校は次々に統廃合されて いきます。学校がなくなる時、地域の大人の方々は口をそろえてこう言います。「子どもが少なくなった。こんな山奥で遊び相手もいなくなりかわいそうだ。」 しかし本当にかわいそうなのは子どもでしょうか。ここに生きる自信を失い、農家に生まれながら百姓仕事を知らず田畑を荒らし、築百年の入母屋の柱を腐ら せ、一番のアイデンテティは車、休日の娯楽はパチンコそんな大人こそがかわいそうな寄る辺のない魂の持ち主かもしれません。
人は失って初めてそのありがたみを知るものです。私にとって母校大森分校の閉校、人生の師村上周平先生を失ったことは大きな哀 しみでした。しかし失うということは最大の教えでもあります。村上先生の言葉は私の中で何度も反芻され、生き生きとした響きを持ち、人生の問題にぶち当 たった時には間違いを諭し勇気付けてくださいます。ここに村上先生の下さった数ある言葉の中から、特に思い出深い4つを記したいと思います。
村上周平先生のことば
~人生の四つのキーワード~
「恋をしなさい、恋をする気でやればなんでもできる。今わたしはエゴマと女房に恋をしている」
「絶望、絶望とは希望があるからするのです」
「あなたはなにをしにここへきたのですか」
「これはただの大豆です。しかしこの豆から養分を吸ってやがて新しい芽が出るでしょう。私の肉体もこの豆のようにやがて 病に冒され死んで腐り果てるでしょう。しかし魂は多くの人に受け継がれ新しい芽をだすことでしょう。それが永遠なのです。」
今ある農村風景が保てるのもあと十年の間でしょう。ちょう ど、衣川エゴマの会の主要メンバーが70代80代になる頃までです。しかし何も無策で荒れ果てる前に、この十年の一日一日を大切にし、エゴマをきっかけに 世代交流の輪を広げたい。一度消えた灯火を再び復活させて私の母校に私の子や孫を通わせたい。いつか幼なじみが村に戻り、私の大切な世代を超えたお友達 (お年寄り)が笑って暮らせるように、赤ん坊の泣き声が山々こだますることを願ってここで歩み続けていくつもりです。
衣川エゴマの会事務局(ミス・エゴマ) 矢崎木綿子